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海外ETFの優れている点
海外ETFの優れている点をご存じでしょうか?よく言われるのは、手数料の安さですが、それだけではありません。私が考えるに、外貨建てで購入できるため、自分の好きなタイミングで円に換金可能なこと、です。これは今のような、S&P500が史上最高値を更新する中で、一時期よりも円高な状況、のような局面で大きな利点になります。
そもそもETFとは?インデックスファンドとの比較
ETF(Exchange Trade Fund)は取引所に上場している投資信託のことです。ETFとインデックスファンドとの違いはETFの方がコストが安い(ETFの経費<インデックスファンド信託報酬)、ETFは上場している(インデックスファンドは非上場)、ETFはリアルタイムで変動する株価で取引可能(インデックスファンドは1日ごとの基準価格でのみ取引)といった違いがあります。表にまとめると以下の通りです。
外国ETFの隠れた、大きなもう一つのメリット
一般的に外国ETFがS&P500連動型インデックスファンドより優れている点は保有期間中のコストの安さにあると言われています。外国ETFの中でも代表的なバンガードS&P500ETFの経費率は0.03%なのに対して、S&P500に連動する代表的なインデックスファンドeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の信託報酬率は0.09372%です(2024年9月現在)。このETFの保有期間中のコストの安さは大きな魅力です。ETFの経費率0.03%とインデックスファンドの信託報酬約0.1%の違いは、例えば100万円の商品購入した場合、ETFは年間300円の経費なのに対して、インデックスファンドは年間1,000円のイメージですね。
外国ETFにはもう一つの大きな魅力があります。それは外貨建てで購入できるということです。米ドルで購入する場合、例えば1ドル=140円のときですと、100万円分=7,143米ドル分のETFが購入できます(一旦為替手数料は無視します)。その後例えば1ドル=160円まで円安になった場合、ETFの価格が変わらなくても、円換算すると約114万円分になります。ただし、インデックスファンドも円を米ドルに換金した上で投資家に割り振っているので上記の点は同じです。
外国ETFとインデックスファンドが異なるのは売却するときです。
2024年9月17日現在S&P500は史上最高値を更新し続けています。従ってS&P500に連動する外貨建てのVOOも同じく市場最高値をつけています。一方で以下のチャートの通り、S&P500に連動する円貨建てのインデックスファンドeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は2024年7月11日の基準価額32,813円が最高値で、9月17日現在の基準価額は28,618円と最高値よりも約-13%です。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(出典:SBI証券)
なぜS&P500が史上最高値をつけているのに、S&P500に連動するインデックスファンドの基準価額が最高値よりも13%も低いのでしょうか?理由は勿論為替の影響です。7月11日時点では1ドル=161.6円だったのが、9月17日時点では1ドル=141.9円です。この円高の影響で、円換算では史上最高値よりも13%も低い基準価額なのです。
例えば数か月後にまとまった円の資金需要があり、外国ETFを売却して資金をつくる必要があるとします。その場合、VOOのような外国ETFであれば、この史上最高値の時点で売却し、ドルベースで資金を寝かせておくことができます。仮に数か月以内にもっと円安になると予想されるのであれば、円安になるまで、しばらくドルベースのまま保有しておき、円安になったタイミングで円貨に替えれば良いのです(勿論、今後もっと円高になると予想されるのであれば、すぐに円貨に替えたほうが良いですが)。一方でインデックスファンドeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の場合は、売却した時点で円貨となってしまうため、インデックスファンド売却して、ドルベースで寝かせて、円安になるタイミングを待つということができません。その時の為替レートで自動的に換金されてしまうのです。これは今のような、S&P500は最高値なのに、為替は一時期よりも10%以上円高になっているタイミングではとても勿体ないです。
まとめ
外国ETFがインデックスファンドよりも優れているのは保有期間中のコスト面だけでなく、外貨での決済が可能なことです。外貨決済であれば、ETF売却後も外貨で資金を保有し続け、為替レートを見ながら自分の好きなタイミングで円に換金することが可能です。この投資家の裁量が大きい部分が(その分換金の手間はかかりますが)、特に為替が不安定な昨今の状況下では、外国ETFの大きなメリットの一つではないでしょうか。
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